関西国際空港から鹿児島行きの飛行機に乗った時のことです。
窓際から外を見ていたら、見慣れた建物を発見。
見慣れた風景のはずなのに、飛行機から見えたその景色は全く違った景色に見えました。
そして、見える景色が違うことで、浮かんでくる考えも変わったのです。
今日は、『見る角度によって見える景色が変わる』というお話です。
以前、仕事で関西国際空港内のとあるエリアにあるクライアント様に頻繁に通っておりました。
しかし、そのエリアは立ち入り制限がかけられているので、うろつくことは憚られるため、社屋を正面からしか見たことがありませんでした。
今回、飛行機から見えたのは、お客様の社屋の裏側でした。
社屋のすぐ裏側は滑走路だったのです。
その時、こんなことを思いました。
「社員の皆様はいつも、社屋の裏側で飛行機が飛び交っているのを感じながら、自分たちがやっている仕事が世界に羽ばたいていることを実感していたんだなぁ」と。
私はそのことを頭ではわかっていたつもりでしたが、心の底から納得し、体感した瞬間でした。
ノーベル経済学賞を受賞したハーバート・サイモン博士は、人は自分の見えている範囲、知っている範囲の中でしか物事を考え、判断することができないと言っています。
これを限定合理性と言います。
見えていないことは、わからないのです。
当たり前、ですよね。
でも、そのことをついつい忘れ、すべてが見えていて、すべてを知っているかのように思ってしまうのです。
私たち人間は、見えている範囲、知っている範囲内でしか物事を考えられない生き物ならば、体験を増やし、見えている範囲を広げるしかありません。
今回の私のように、たまたまお客様の社屋の裏側から見ることができたため、体験から理解が深まりました。
見えている範囲が大きく広がった瞬間でした。
何を伝えたかったかというと、何事もやってみる、体験してみることが非常に重要だということです。
今までの自分なら、しようとしないことをやってみることで、見えている範囲がぐんと広がります。
今までの自分の居場所はコンフォートゾーンなので、そこから外れた少し不快感を感じるゾーンにはいきたくないと体が拒否することもありますが、自身を成長させるために、あえてコンフォートゾーンから抜け出してみるのも楽しいものです。
(文:菅生としこ)
菅生としこプロフィール
トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!