先日、ある企業の社員さんとの会話。
「ほんとにがっかりしました」
「何かあった?」
「ある問題があって、今までも気になっていたけれど、言いにくくて言えなかったことがあったんです。
それで先月ようやくその問題を社長にも共有することができたんです。
社長もその問題を何とかしようという気になってくれて、社長が“★★します”、と言ったのでようやく解決すると思ってたんです。
でも、また同じ問題が起きたんです。社長が★★をやらなかったんですよ。あり得ない。
思わず、売り言葉に買い言葉で『辞めます』と言う寸前でした。
社長が、やると言ってやらなかったことは、今回だけではないんです。」

さて、あなたはこのAさんの言葉、どのように感じましたか?

  • 社長も人間だから忘れることもあるさ
  • 社長も忙しいんだな
  • そこまで目くじら立てるような内容だったのか?

という社長寄りの見方もできるでしょう。
確かにその通りです。
一方で、社員さんとしては、

  • 今まで言えなかったことがようやく解決した
  • 今までの肩の荷が下りた
  • 私たちの苦しみや悩みを理解してもらえた
  • しかし、期待していたのに裏切られた
  • 実は理解してもらえていなかった
  • 私たちの意見は大切にされなかった

そうなのです。
“社員が辞めようと思う瞬間”は、いろいろありますが、1つのケースとして、次の二つが合わさった時に起きます。

①何度も同じことが起きている状態。

もう1つは、

②期待から失意のどん底に突き落とされる時。

言い換えると、快から不快への感情の落差が大きい時。
この二つが絡み合った時に離職になります。

今回のケースであれば、

①約束を守らない、理解されない、大切にされない、というのが、何度も続けられていました。

いわゆる、ゆでガエル状態です。
ゆでガエル状態とは、、、
水中の中のカエルは、徐々にその水を暖めたとしても水が暖かくなっていることに徐々に慣らされるので気づきません。
そしてかなり熱くなった時にはもう手遅れで水(湯)の中から出られない、というカエルの状態です。
まさに、徐々に約束を守らないことへの怒りや、イライラや残念さが蓄積しますが、継続的にその状態が繰り返されているだけであれば、ある意味麻痺しますので、気づかないうちに社長から心が離れ、やる気は下がる一方ですが、その状態に慣れてしまうので、きっかけがなければ離職になりません。
しかし、この「ゆであがる前のカエル状態」の時に、「快から不快への落差」があると、それが「引き金」となるのです。

  • 非常に期待していたのに、期待を裏切られた
  • こんな人だと思ってなかった
  • こんな会社だと思ってなかった

と認識したときに離職を考えるのです。
違う言葉で言うと、「一貫性のない上司にはついていけません!」ということですね。
引き金を引かないことも大事ですが、何度もがっかりさせるような経験を積み重ねないことが大切です。

今回は、“社員が辞めようと思う瞬間”についての話でしたが、離職まで至らなくても、やる気もどんどん失われていきます。
やる気のない社員は早めのケアが必要です。
やる気が低いのは、やる気が低い社員が問題ではないことが大半ですから。

あなたの会社は、大丈夫ですか?

ご質問、ご感想など気軽にお寄せください。
楽しみにお待ちしております。

文:菅生としこ

株式会社AWESOME EYE 代表 菅生としこ

菅生としこプロフィール

トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!

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