選択と集中が大事、ってよく聞きますよね。
私たちは常に選択をし、そこにリソースを投入しています。
あなたも常に気を付けていらっしゃるのではないかと思います。
ただ、いつの間にか、意図せずして選択と集中ができなくなることがあります。
先日、こんな話をお伺いしました。
「今までの仕事に加え、ちょこちょこ仕事が増えていて、最近はかなり大変な状態です」という悲痛な叫びでした。いつの間にか仕事が増えていったのだと思います。
指示した側もすべての業務量を把握できていないこともしばしばです。
業務のタイトルは把握していても、細かい業務や全体の業務量はわかっていないことがよくあります。
昨日、東京都江戸川区で標識が落下して、けが人が出たというニュースがありました。
関係部署では、今回の対応に加え、今後追加される仕事は数え切れません。
標識の定期的な点検作業が追加され、マニュアルが改定され、定期点検ができたかどうかのチェックを行い、毎回報告書を書き、報告書の管理を行う仕事が追加されることでしょう。
でもこの仕事がなくなる日はないでしょう。
半永久的に、この仕事をやり続けることと思います。
標識だけではなく、その他の点検はどうなっているのか、といった関連項目についての一斉見直しがされるかもしれません。
議会での説明や、区民の皆様への定期的な説明が必要になるかもしれません。
軽く書いただけでも、ぞっとするほどの業務追加です。
一瞬の業務増加ではなく、反永久的な業務増加です。
これは1つの出来事に対してだけなので、何かあるたびに業務は増えています。
業務量増加は半端ないですね。
問題が起きなくても、新しい取り組み、
たとえばSDGs、DX関連、評価制度変更、新しい機器導入などなど
企業が成長するために必要なことはいろいろありますが、あれもこれもやっていたら、業務は増加する一方です。
だからこそ、選択と集中が必要なのです。
私たちは何を選び、何を選ばないか。
どこにリソースを集中させるのか。
リソースは無限ではありません。
人員増加がないまま業務を増加させ続けたら、社員は疲弊するだけです。
だからDXなんだとおっしゃるかもしれませんが、
社長が良かれと思って行ったDXも社員にとっては業務増加にしかならないケースもたくさん見てきました。
業務を増やしたら、その時に、いつまでやるのか、どうなったらやめるのか、同時に決めておくことをお勧めします。
でないと、いつまでも業務は増える一方です。
選択と集中。
スクラップ&ビルド。
スクラップしなければ、ビルドはできませんしね。
文:菅生としこ
菅生としこプロフィール
トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!