本質的な女性活躍を進めたいなら…

近年、履歴書やエントリーシートの性別欄を削除する企業など、性別に関する配慮が増えてきています。
ハラスメントや性的マイノリティ、そして女性活躍推進もその1つです。
弊社でも、女性管理職を増やしたい、女性社員のキャリアパス、能力アップなどについてご依頼を受けることがよくあります。
そもそも組織は、性別に関係なく、一人の社員としてそれぞれが持っている強み、経験、能力などを存分に発揮してもらえる職場をつくり、機会を提供すること、それが目指す姿です。

私自身の考えとしては、男女で取り組みを分けることにはあまり賛成ではありません。
ですが、すでに性別で分けられてしまっている物事を統合し、一人一人の個性であると整理しなおすために、男女で取り組みをわけることも場合によっては致し方ないと感じています。
今までの性別に関する役割意識が男性の中にも女性の中にも刷り込まれており、理想にむかうことを邪魔しているように思うからです。
この一人一人の中に刷り込まれている役割意識を変えていかなければなりません。
でも人の意識は簡単には変わりません。

ではどうしたらよいのか、
と悩みますよね。

その答えは構造を変えていくことです。
今まで女性がやっていた仕事を男性がする、男性がやっていた仕事を女性がする。
男性しか得られなかった機会を女性に与える、女性にしか与えられなかった機会を男性に与える、など。
こうやって男性だから、女性だから、という性別でつくってきた構造を変えていくことです。
これらはあなたの会社でもよくやっているのではないでしょうか。
残念ながら、構造を変えたらすぐに意識が変わるものでもありません。
構造に働きかけていると、少々時間はかかりますが、自然と意識は変化していくものです。

そこで、自然に任せていたら時間がかかるので、
意識変化のスピードをあげていこう、もう少し構造を変えていこう、
と行う取り組みの1つが研修です。
研修が重要な取り組みであることには変わりありません。
しかし、よくあるのは女性向けの取り組み。
女性が変わらなければならないと考え、女性の意識を変えるための研修なのでしょうね。

本来は前述のように、男性にも、女性にも、全体にも、上司にも、部下にも働き掛けないことには変化スピードはあがりません。
それどころか、良かれと思って行った女性向けの取り組みが思いもよらないところへ影響を与え、偏りが起き、いびつになり、こんなはずではなかった結果を招いているような企業もあるように感じています。

なぜなら、世の中はすべてシステムでつながっているからです。
こちらで行った取り組みが、あちらの方に影響を与えるのが常です。
どんな影響が起きそうかを考えたり、
よりよい影響を与えられるような取り組みをしたいものですね。

そのためには、どのようなシステム・構造になっているのか
理解することが大切です。
会社の中で動いている構造を把握したうえで、どこにテコ入れしたらうまく機能するのかを考えることが重要です。
実はこれは、女性活躍推進に限らず、起こっているすべての出来事はシステムの中で動いているのです。

何か問題が起きた時、どんなシステム・構造になっているのか、ぜひ考えてみてください。

文:菅生としこ

株式会社AWESOME EYE 代表 菅生としこ

菅生としこプロフィール

トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!

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