菅生の一言
『勝てる風土をつくるには地道な活動しかない』
キリンビールは1954年から国内シェア1位。「ビールはキリン」、シェア60%という王者でした。
しかし、1987年にアサヒスーパードライが発売されてから、
2001年には半世紀ぶりにアサヒビールにトップの座を渡した
という驚くニュースを覚えている方も多いのではないでしょうか。
この本には、キリンビール高知支店でアサヒビールからトップシェアの座を奪い返すまでの逆転劇について
生々しく綴られています。
著者は「この闘いの本質はライバルとの闘いというよりも、自社の風土との闘いといえると思います。」
とおっしゃっています。
勝てる組織をつくる、勝てる風土をつくるには地道な活動しかないんだなぁとつくづく感じる一冊です。
一部をご紹介します。
Todasy’s センテンス『キリンビール高知支店の軌跡』
“(1980年前半頃)売れすぎて困っていた時代ですから、役所以上の役所とまでいわれ、
官僚主義、形式主義、実行より手続き、現場より会議、本質把握より細かな分析を大事にする、
といった風土でした。
闘う相手はライバルメーカーではなく、社内の風土だったように思います。”
“ 売上が悪くなると、本社は管理を強化しようとします。
当時は、ひと月に20を超える施策と指示が届いていました。(中略)
営業マンも本社からの指示に振り回されて、何のためにこの仕事をしているのか
という目的もわからなくなり、どんどん売り上げは下がっていました。”
“ どのエリアのリーダーも、ミッションと言うのは、本社でつくった方針や目標を
いかに遂行してその達成度をたかめるかだと思っていました。(中略)
設定する目標数字は、いくら問屋に出荷したかという売り上げを指標化したものが多く、
なおかつ前年比プラス5%くらいに設定されたもの。”
“ うまくいっていないことも、実は自分たちの選択のせいだとわかり、
現状を自分たちの力で変えられることに気づく必要があるのです。”
“ メンバーが自発的な目標を定め、リーダーとの間で約束したら、
その合意の結果をしっかり検証するという(中略)
「結果のコミュニケーション」を毎月毎月、粘り強く続けていくと、
ひとりひとりに徐々に基礎体力がついてきました。”
“ そのときメンバーから「高知の人向けにメッセージがだせたらなぁ」
という意見が出ました。(中略)
「高知が、いちばん。」キャンペーンは地元新聞に加え、ラジオで展開しました。(中略)
この広告の流れている時期、営業も今までより、料飲店、量販店ともに飛び込みやすくなり、
さらに回りやすくなっていきました。
良い循環が生まれたのです。”
“ キリンは残すべき会社だし、愛されてきた美味しいキリンビールを
ひとりでも多くの高知の人に飲んで喜んでいただきたい。
この理念を実現するには市場ではどんな状態が必要なのか。(中略)
このあるべき状態、これが「ビジョン」です。
高知支店ではいつしか「数値目標」というものがなくなっていきました。
ビジョンを実現するには、それぞれの持ち場でそれぞれが何をどうすればいいか、それを考え実行することがすべてとなったのです。”
出典:『キリンビール高知支店の軌跡 勝利の法則は現場で拾え!』講談社+α新書
著者:元キリンビール株式会社代表取締役副社長 田村 潤著
菅生としこプロフィール
トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!