ある製造業の部長・工場長クラスの方々と

「承認」について

話をしていた時のこと。

 

ある方がこうおっしゃいました。

 

「役職者が大勢いる中で

誰か一人がAさんを褒めても、

他の全員がAさんを褒めない場合、

褒めない方がよいのではないですか?」

 

皆さんはこの意見について

どう思いますか?

 

企業さんによっては、

”褒めないのがマジョリティ”というのは

よく聞く話です。

 

この会社さんもどうやら同じらしいです。

 

人によっては、褒められることで

こんな気持ちになるようです。

 

くすぐったい。

 

ほんとにそう思っているのか?と

疑いたくなる。

 

私は褒められるようなことはしていない、と思う。

 

など、いろいろな方がいらっしゃいます。

 

あなたはどうですか?

 

いろいろな方がいるから、

相手に合わせて褒めないといけなくなる。

 

だから、

褒めるって難しい。

 

ということなのでしょうね。

 

そこで質問です。

 

あなたは褒めたいと思っている

のですか?

それはなんのためですか?

 

先の方はどうしてこの質問を

したのでしょうね。

 

その時、その場にいた皆さんにも

同様なことを思うのか?

なぜそう思うのか、尋ねてみました。

 

様々な意見が出てきましたが、

まとめると下記3点の理由があるようでした。

 

①褒めるのはかなりハードルが高いから
 褒めるには、頑張らなくてはいけないという前提。

②褒めることで「よい」と認めたことになる。

③褒める人が少ないから自分だけ浮いてしまう。

 

そんなこんなで先の質問になったのだと思います。

 

まずは、

①褒めるのはかなりハードルが高い。

について。

 

私にとっての“褒める”は

 

“単なる事実”

“単なる感想”

を伝えるだけなのです。

 

「このデザイン、シンプルですね」

「わかりやすい提案ですね」

「いつも笑顔が絶えませんね」

など。

 

他にも、評価が入る場合もありますよね。

 

すごいとか、

素敵とか、

めっちゃいい、とか。

 

これって

「私はすごいと思う」

「私は素敵だと思う」

「私はめっちゃいいと思う」

という私目線の単なる感想なのです。

 

「そのネクタイ、お似合いですね」

と、私の目にうつった事実を

私の目線で感想を伝えただけ、

なのです。

 

そう思うと、

そんなにハードルは高くないですよね。

 

自分がいいと思ったこと、

自分がすごいと思ったことを

事実や感想で伝えるだけです。

 

もしこれが難しいとするならば、

それは、普段から観察していないのだと

思うのです。

 

見ていないから事実がわからない。

けど、褒めないといけないから、

適当な抽象的な

「ポジティブワードを使ってみる」

 

って感じでしょうか。

 

こんな風に褒められても、

嬉しくないし、

本当か?と疑いますよね。

見ていないことがよくわかりますから。

 

それを相手が敏感に感じ取って、

そんな相手の様子を自分も敏感に

感じ取る。

だから、褒めるって難しい~、

となるのだと思います。

 

その時、褒めた理由は、

相手をコントロールしたい、

ってことではないですか?

 

相手によく思われたい、

相手を褒めておかないと次からやってもらえない、

褒めたらまたやってくれる、とか。

 

これって相手を動かそうとしてますよね。

コントロールしようとしていますよね。

 

これは相手も、

自分をコントロールしようとしている、

とどこかで感じます。

 

だから拒否したくなるのです。

 

それを感じて、

褒めるって難しい・・・と

なるのではないかと思います。

  

次に、

②褒めることで「よい」と認めたことになる。

についてです。

 

言い換えると、

「よい」と思えない

(認めたくない)のに、

 

「よい」と言わなくてはならない

ことに抵抗がある

 

ってことですね。

 

これはただ単に、

事実を述べていないからではないでしょうか。

 

いいこと言わなくちゃいけない、

と頑張るけど、無理・・・

って感じですね。

 

これもコントロールしようとしている、

ということだと思います。

ほめることで、何かしてほしいことが

あるんですよね。

例えば、やる気を出してほしい、

というのもその類です。

 

無理やり褒めようと思っても

無理なのです。

 

だからこそ、

普段から相手を観察することが

きわめて重要なのです。

 

あなたは部下を、同僚を

観察していますか?

 

自分にはない、自分との違いを

しっかり感じていますか?

 

自分との違いは、

自分にできないことができている部分が

あるということです。

それに気づいていますか?

 

減点方式で相手を見ていたら

褒めるポイントはいつまでも

見つかりません。

 

自分と人は違うのです。

 

褒めるのが難しい方は、

自分と他人の違いを認めるところから

始めてみませんか?

 

違いがわかっても、

褒めるポイントが見えてくるはずです。

 

それでも見えてこなかったら、

その自分との違いを

コインの裏側をのぞくように

見てください。

 

例えば・・・

「口うるさい」と感じるなら、

「細かいことまで気が回るんだな」と。

 

「話がコロコロ変わる」と感じるなら、

「いろんなことに興味があるんだな」と。

 

最後に、

③褒める人が少ないから自分だけ浮いてしまう。

についてです。

 

事実を述べただけで、

自分目線の感想を言うだけで、

あなたは職場で浮くのですか?

 

事実を述べると

「あいつは事実を言ってばかりいる!」

などと浮くのですか?

 

そんなことはないですよね。

 

そして、もしもそれでも

褒めたら浮くような職場・会社であるならば…

 

あなたは、そのような職場の風土・文化を

これからも踏襲したいと思いますか?

 

あなたは、

あなたのことを見てくれている人から

あなたの行動や態度や姿勢に

関する事実を伝えられて、

いやな気持になりますか?

 

もし悪いことをしていたとしたら

バツが悪いかもしれませんが、

いいことをしていたのであれば、

嬉しい気持ちになりませんか?

 

少なくとも私は嬉しい気持ちになります。

 

「菅生さんの挨拶は気持ちがいいね」

「菅生さんの言葉で勇気をもらいました」

と言われた時、嬉しい気持ちになりました。

 

あなたは、

褒めた人が浮くような風土・文化で

働きたいと思いますか?

 

それとも、

自然に褒め合うような風土・文化で

働きたいですか?

 

風土・文化をつくるのは、

社員一人一人です。

そして、あなたが

組織の風土・文化をつくっていくのです。

 

結局、人は変えられませんから。

変えられるのは自分だけです。

まずは自分から、ですね。

(自戒の念を込めて)

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