組織を組織化する、進化し続ける組織をつくるためには
人材力、組織力、関係力が必要だという話を前回させていただきました。
今日は、人材力について弊社の考え方をお伝えします。

人材力を高める方法として2つあります。
1.今いる社員の能力を最大限活用すること
2.組織の組織化に必要な、進化し続けるために必要な能力を高めること 

1.今いる社員の能力を最大限活用すること
部下・社員の強みを最大限に活かすことが、組織のリソースを最大限に活かすことになります。

しかし実際には、この点は忘れられがちです。設備や機械だけでなく、鉛筆は最後まで使おう、印刷ミスした紙一枚については裏紙として使おう、となりますよね。
余談ですが、先日ある組織で会計の仕事をしていてチェックするのに付箋を貼っていた時のことです。チェックが終わり、はがした付箋・・・その組織の方が私にこう言いました。
「この付箋、もう使われませんか?もらってもいいですか?」と。
確かに付箋は、貼ってはがすの繰り返しができることが利点ですものね。
あなたの組織ではここまで徹底しているかわかりませんが、大なり小なり、文房具ひとつでも資源の最大限の活用をなさっていると思うのです。

では改めてお聞きします。
「あなたの部下や社員の力を最大限活用できていますか?」

あなたの部下がどんな仕事が得意で、どんな仕事ならパフォーマンスがあがり、嬉々として仕事を行い、周りにも良い影響を与えているのか、知っていますか?

あなたの部下がどんな仕事が苦手なのか、苦手な仕事でもミスしないように多くの時間をチェックしたり、上司の言っていることを必死に理解しようとしたり、努力していることを知っていますか?
それでも部下はミスをしてあなたに怒られているかもしれません。
あなたが怒ってしまうほどであれば、何度も同じミスをしているかもしれません。
また、あなたは「どうしてこのくらいもできないのか!」と部下を責めることもあるでしょう。
また部下を育ててあげられない自分を責めているかもしれません。
もしくは、部下の育成をあきらめて彼の活躍の場を与えられなくなってしまったり、職場の雰囲気を悪くしているかもしれません。
怒りたい人、最初からあきらめていた人、ましてや意図的に職場の雰囲気を悪くしたい人はひとりだっていません。
しかし、こんな組織をたくさん見てきました。
なぜこのようになるのか。それは強み・弱み・傾向を認識していなかった、それだけです。

そして実は、私自身とその上司も、似たような状況だったのです。

入社2年目、社内研修やイベントの事務局をしていました。
名簿の管理やテキストの印刷手配、会場準備、先生への連絡など、スムーズな研修運営にはどれも重要な業務です。
まだ入社2年目なので、抜けもれないようにきっちりチェックするからこそミスはありませんでしたが、チェックするたびに修正点が見つかるのです。
修正点を見落とさないなんてすごいじゃないか、と思う人がいるかもしれませんが、修正チェックを何度も繰り返さなければならず、膨大なムダな時間をかけなければ正確な仕事にならないのです。
電卓は3回たたいたら3回とも違う計算になるのですから。
でも5度、6度とたたいていれば大体あってくるのです。不思議です。

最初はそれを無駄なことも思いもしませんでした。
しかし、同期がやったほうが何倍も仕事が早いのです。これは、自分で“私は仕事ができない”と思わせた原因の1つです。
要するに、必ずやらなければならないことを抜けもれなくきっちりこなす実務の能力が欠けていたのです。これは、自信のなさにつながります。
自信がないと、ますます時間がかかるようになります。
上司から見れば何をチンタラ仕事してるんだ、と思っていたことでしょう。きっとイライラしたのではないかと今なら思います。
ただ、私の後工程は仕事が回ってこなくてイライラすることはなかったと思います。
なぜなら昔は残業ができたから。今なら残業せずに帰らなければならないので、仕事が滞り、後工程の方もイライラさせていたかもしれません。

そんな私にも強みがあったのです。何かを創り出す能力です。
入社4年目、統計的手法の研修運営をしながら、「統計的手法は仕事を効率的に行うための一手法。手法を使うには、仕事の全体像が見えていないと、どこで統計的手法を使ったらよいか、的確な判断がしにくいし、効果のでる使い方ができないのではないか」と考えたのです。
それで仕事の進め方を整理・体系化するに至りました。それをさせてくれた上司にも心から感謝しています。
その当時の上司は、私にそのような能力があるからそれを活用してみなさい、と思っていてくれたのかどうかはわかりません。しかし、結果的には強みを活かす仕事ができたからこそ、会社にも大きな貢献をすることができました。
(余談ですが、その仕事の進め方は「問題解決法」として展開し、今でもトヨタ社員の仕事の基礎としてスタッフ全員が身につけ、仕事やOJTを行う際の共通言語になっていますので、非常に高い生産性をあげることができています。)

苦手なことをさせるのは組織にとっては大きなマイナスです。
会社にとってのもう一つのリソースである時間を大量につかうことになりますし、ミスで信頼を失うこともあります。
その上、強みを使って効率の良いパフォーマンスをする時間もとれないのです。時間は有限ですからどのように時間を配分するのか、という話です。

あなたは部下の強みを把握し、部下が労力をかけずに、高いパフォーマンスで嬉々として行える仕事を与えていますか?そのような場を作っていますか?

これは、部下のためでもありますが、組織・チームをまとめるあなたのためでもあるのです。
部下全員が最大限の力をそれぞれが発揮できれば、チームの業績は必ず高まります。部下のみんなが仕事を楽しみながら、目標も簡単にクリアできるようになるのです。

そしてそれはもちろん、会社のためでもあり、お客様のためでもあるのです。

部下の強み、特徴を把握する方法

具体的にどのように部下の強みや弱み、特徴、傾向を把握したらよいのか、という疑問がわきますよね。

それにはいくつかの方法があります。
1.観察する
2.診断テストを行う
3.部下に直接ヒアリングする
4.多能工化、マルチタスク化 など

その他にも方法はあります。またそれぞれの具体的なコツもあります。

例えば、診断テストには、「ストレングスファインダー🄬」という大変有名な診断テストもあります。書店などで本を購入すると診断テストがもれなくついてきます。34コの資質について診断してもらえます。
また、組織内でチーム力をアップさせるために現実的に使いやすい診断テストとしてご提案するのは、「効き脳診断」です。4分類(冒険・創造脳/論理・理性脳/堅実・計画能/感覚・友好能)で強みを把握できます。

効き脳診断やそのほかの方法についても、ご興味があれば、お気軽にお問合せください。

2.組織の組織化に必要な、進化し続けるために必要な能力を高めること

能力を高めるための自己啓発、研修受講、OJTなど重要であることは言うまでもありません。
その時のポイントは2つあります。

1つ目は、
強みを理解した上で研修受講させたり、OJTでトレーニングさせることが重要です。
なにしろ、研修で得られることも苦手な分野なら少々しか手に入りませんが、得意なら多くのものが手に入るのです。
何かを部下に期待しているのであれば、強みを更に伸ばすことを期待しましょう。成果を上げることを期待しているのであれば、なおさらです。
尊敬する上司から右利きの私に「左手で5分で定食を食べ終われ、お前ならできる!」と言われたら嬉しいし頑張りますが、その目標をクリアするために多くの時間を与えてくれるなら、です。

そんな私に期待するよりも、左利きの人にそのチャレンジをしてもらった方がいいに決まっているのです。
ただし、箸を使わず、素手ならできます(笑)。
制約条件がなければできることは増えてきます。
しかし、仕事の多くは、様々な制約があるものです。

2つ目は、
弱みが強みをかき消すほど大きな弱みなのであれば、弱みを少しは克服するよう、能力アップが必要です。
また、うちの会社にいる以上、最低限これだけはできるようになってほしい、という能力水準もあるでしょう。
そして、進化し続けるために必要な能力も整理し、能力アップを図るような機会や仕組みをつくることが必要です。

マナーや社会人基礎力的な、人間力を問われる分野はこれにあたりますね。
また、組織である以上、「コミュニケーション力」は必須ではないでしょうか。不要だという会社は聞いたことがありません。
しかし、学校で学びませんので、研修やOJTでのトレーニングが必要です。
新卒入社時に企業で成果をあげるために必要なコミュニケーション力を有している人は10人中2人くらいな印象です。
その他、例えば、トヨタ自動車であれば「問題解決力」。
トヨタ社員には必須の能力と位置付けているため、得意かどうかは関係ありません。
新入社員から徹底的に問題解決力を鍛える集合研修とOJTが何度も行われます。

あなたの会社では、
・社員・部下の強みを把握して仕事を与えていますか?
・強みを伸ばすことを期待していますか?
・強みを伸ばす教育をしていますか?
・強みを発揮する場をつくっていますか?
・進化し続けるために必要な能力は何か、整理できていますか?
・その必須能力を身につけられるような機会を与えていますか?

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