大企業は、様々な教育を社員に行っている。
殆どの大企業では、階層別教育と呼ばれる、入社からの年数や職位があがるたびに決まって行われる教育体系がある。内容は企業によって様々ではあるが、入社から5年目まで毎年教育がある、なんていう企業もあるほど社員は教育されている。
大企業は「余裕があるから社員教育ができるんだ」と中小企業の方はよくおっしゃる。
しかし、27年間企業の社員教育に携わってきた立場から言わせてもらえば、
「余裕があるから教育をする」のではなく、
「教育をするから余裕ができる」のだ。
私が育ててもらったトヨタ自動車。
今は世界的企業ではあるが、創立当初は、数名がそれぞれ文字通り汗水たらして必死に自動車を世の中に送り出そうと努力していた。その時、トヨタ自動車が社員に教育を行っていたとは思えない。しかし当時の社員は必死に知識を得て、知識をもとに試行錯誤し、学び続けていたことは容易に想像できる。
世の中のほとんどの商品・サービスは過去の知識や知見を基に作られていると言われている。
要するに、何か改善や新しいモノを生み出そうとするのであれば、必ず知識やその実践の場が必要だということだ。
知識を学び、それを実践する場を設ける、それが社員研修の場なのだ。
その研修の場が多い大企業では、一人一人の能力があがり、発揮され、だからこそ更に更に改善や新規事業が生まれ、ますます会社は成長・発展をしていく。その会社に蓄積された知見で更に一人一人は力をつけていく。
今の中小企業は、昔のトヨタ自動車と同じだ。
だとすれば、社員一人一人が自ら学びたくなるような場づくり、機会づくりが必要だと考える。
そのために必要なこと。
それは会社のビジョンやミッションだ。
どんなビジョンやミッションであれ、社員がそこに共感し、合意をし、突き進むことができれば、おのずと学ぶようになる。創立当初のトヨタであれば、社員皆で「自動車製造の夢」を見たことで、一心に突き進むことができたのだと思う。
社員教育の場がどうしても必要、なのではなく、社員が自ら学びたくなるような場づくりが必要なのだ。
そのような場があれば、
社員は自分の知恵を引き出し、能力を発揮し、自分で自分を誇れるようになる。
学ぶ場がたまたま社員教育・集合教育かもしれないし、職場でのOJTかもしれない、自己研鑽かもしれない。
そのような場づくりが企業として社員に提供できる貢献なのではないかと思う。
そしてそれによって一人一人の生産性があがり、企業の業績に繋がることは言うまでもない。