先日、クライアント様から360度評価を行いたいというご相談がありました。
360度評価制度は、うまく実施できればとても良い仕組みです。

しかし、ポイントを外してしまうと、より組織を悪化させる可能性もあります。

そこで、留意点の1つをお伝えしたいと思います。

人事評価制度というと、上司が部下を評価するのが一般的です。
上司はその上の上司に評価されています。
ですから、その上の上司にいい顔をしがちです。

例えば、課長は部長に評価されるので、課長は部長にいい顔をしがちです。
部長の意見に真っ向から反対意見を出せないこともあるでしょう。

しかし、一般社員から課長に対する不満としてこんな話をよく聴きます。
・上を見て仕事をする上司
・上に対する態度と私たちへの態度が違う
・上にはいい顔して「ハイ大丈夫です」というが無理なことをやるのは私たち
・部長は、課長のことをわかってない
など上司への不満は後を絶ちません。

中間管理職の大変さが身にしみます。
きっと、課長も言い分はあると思います。
経営者は、そんな話を一般社員や部長から小耳に挟むこともあると思います。
でも、社長や部長から、課長に何かを伝えたところで課長の行動は変わらないことが大半です。

そこで、部下からの評価を上司に気づいてもらおうというのが360度評価制度です。
評価される人の周囲360度、全方位の人から評価をしてもらいます。
ここまでは良さげな制度ですよね。

よく考えてみてください。

そもそも上司部下の信頼関係を築けていないので、不満が出るのです。
そのような中で、360度からの評価を見て上司の行動は変わるのでしょうか?

それどころか、上司から部下への圧力がかかるかもしれません。
「いい評価つけとけよ!」
また、「お前、低い評価つけたな」と睨まれるかもしれません。
そうなると、忖度した評価をつけるようになります。
意味のない制度の出来上がりです。

そして、マイナスの付加価値として、忖度文化ができあがります。
忖度文化。
何一ついいことはありません。
風通しの良いオープンな社風とは真逆ですね。
コンセプトは悪くないのですが、実施するなら丁寧に進めることが肝になります。
他にも360度評価制度の導入での留意点がありますが、またの機会に。

世の中では、17~18%の企業が、360度評価を実施しているようです。
もしあなたの会社で実施しているなら、目的を達成できるような仕組みになっているのか今一度振り返ってみてくださいね。

そもそも、評価制度というものはうまく進めないと、忖度文化をつくりがちです。
あなたの会社の人事評価制度は大丈夫ですか?

文:菅生としこ

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株式会社AWESOME EYE 代表 菅生としこ

菅生としこプロフィール

トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
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