先を歩く企業様がトップダウンから脱却したいと考える理由の2つ目についてお話します。
(1つ目の理由はこちらをお読みください)
昨今、トップダウン企業から脱却したい企業様が増えています。
念のためにお伝えしておきますが、トップダウンがすべて悪いわけではなく、トップダウンが必要な場合ももちろんあります。
しかし、トップダウン一辺倒だと、うまくいかないと気づき始めています。
そうなると、社員の意見を聞こうとし始めるのですが、トップダウンとボトムアップを下手に「まぜると危険!」状態になり、最悪の結果を招きます。
例えば、少しボトムアップの割合を増やし、社員の意見をちゃんと聴けるように1on1面談を始めた企業様は多々あります。
しかし、「まぜるな危険!」状態を招き、うまくいっていないケースも散見されます。
だからといって、大変だからトップダウンのままでよいのでは、というのはあまりに短絡的思考です。トップダウンとボトムアップの配合や分配を押さえるべきポイントを知った上でボトムアップにしていければ、非常によい組織に自然と生まれ変わるのです。
人材の重要性を実感
では改めて、トップダウン一辺倒から脱却したい理由の2つ目。
それは、「人材の重要性を実感」しているからです。
多くの企業様は、人材確保をする場面で「トップダウン経営ではうまくいかない」と気づきます。
具体的に言うと、売り手市場で働いてくれる方は働く会社を選べる時代であり、採用も難しく、採用したから安泰ではなく、今いる社員もたやすく転職できる環境が整っています。ですから、企業の最後の砦であり、宝である社員を失うリスクが高まり、この状態が続けば持続的経営が危ぶまれることを認識するのです。長い時間軸で物事を考えられる経営者ほど、強い危機感を感じます。
ですから、採用も強化しますが、今いる社員の定着を真剣に考えざるを得ないのです。
以前のように、募集をしてもいい人材は応募してこない、それどころかそもそも応募がないので、定着してもらうための方策として、トップダウンからの脱却しようと考えます。
トップダウンからの脱却せずに、採用・定着を頑張っている企業も多々ありますが、賃金が高く、福利厚生が手厚く、休日が多い企業は、それが選ばれる理由となりますので、採用に関してはご安心ください。しかし、賃金・福利厚生・休日だけで社員は会社を選びません。
上司が怖い、先輩が仕事を教えてくれない、孤独を感じる、成長が見込めない、相談相手がいないなどが起きると途端に「離職」のに文字が社員の頭によぎります。若手もしくは優秀な社員ほど可能性は高くなります。
ですから、賃金、福利厚生、休日では勝負できない企業様は、このようなことがないよう、少しずつ転換する時期に入っています。今まで大丈夫だったから、というのは通用しない時代です。
その理由は、トップダウンで引き起こされることを考えると、おわかりいただけると思います。
トップダウンで起きること
トップダウンで引き起こされる状態は、多々あります。
トップダウンで引き起こされる状態
・社員は上位者の指示命令に従う
・自分の意見があっても聞いてもらえない
・トップの意向に合わないことは言うだけムダ
・自分の力を発揮できないと感じる
・上司、会社は言われたことをやってくれる社員がほしいんだと感じる
・私じゃなくても誰でもいいのだと考える 等
トップダウンの場合、社員の自発性は不要なので会社は楽して統制が取れますので、変えたくないかもしれません。しかし、上記のように組織は活性化されず、停滞していきます。
人間は成長することを根源的な欲求として持ちながらも、楽をしたい生き物でもありますから、言われたことだけやる楽チンさを選ぶ人だけが残り、片方では、自発的に行動し、もっと力を発揮したい、成長したい、という社員は離職、もしくは社内で意見を伝えることを諦め、行動しない選択を取り始めます。傍から見ると、やる気がない社員ができあがります。
そして、活性化されない組織や、楽を選ぶ人だけが残った組織で、生産性向上、イノベイティブな組織づくりなど実現不可能です。
活性化された組織だからこそ、生産性の更なる向上や、イノベイティブな組織づくり、チームの一体感が実現するのです。
だからこそ、トップダウンからの脱却、ボトムアップ型組織への転換を図り始めています。
ボトムアップへの転換の仕方
でもトップダウンからボトムアップへの転換は3ヵ月程度では難しく、様々な考え方や仕組みや意思決定スタイル、社員のマインドなどを変えた先にしか実現しません。
単純に、社員の話を聞くことがボトムアップではありません。
しかし、うまくいく方法を学び、1つ1つ順番通りに取り組めば、1年先には、ここで働き続けたいと社員に言われる会社となり、モチベーションがあがり、生産性があがったり、自然と目標達成される会社になっていきます。
何事にも成功する原理原則があるのです。
それは、どこかの企業がうまくいったやり方ではなく、原理原則を活用し、あなたの企業がうまくいく成功パターンを見極めることです。
以前は、トップダウン経営がうまくいく企業の特徴でしたが、現在は、社員の意見を引き出し、社員一人一人の人格を尊重し、社員の意見を意思決定に反映させ、より多様なものの見方や考え方・情報・知見などを経営に取り入れるボトムアップ経営がうまくいく企業の特徴となっています。
まとめ
ボトムアップ経営は、自発的に考え、行動する社員が育ち、今いる社員が大きな力を引き出す経営に他ならないのです。
ボトムアップ経営に近づけることで、自発的に行動する社員が増え、生産性の高い組織、イノベーティブな組織になります。
あなたの会社はいつ、トップダウンからボトムアップに転換しますか?
どのようにトップダウンからボトムアップに転換しますか?
文:菅生としこ
菅生としこプロフィール
トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!