前回は、自発的なやる気を引きだす要因についてお話しました。

なぜ自発的なやる気を引き出すことが重要なのでしょうか。

答えは簡単です。
人は欲求に従って行動する生き物ですので、自らやりたいと思えば、自発的に行動するからです。
ビジネスにおいては、行動して初めて成果があがります。
従って、行動してもらうためにやる気を引き出すことが重要なのです。

当たり前のことですが、社員や部下の行動を促したいと考えている方のために、自発的なやる気が生まれるメカニズムをお伝えします。

1.快を得られる方を選択し行動する

あなたは、「やってはいけない」と頭でわかっていたとしても、やりたい気持ちが勝った経験はありませんか?
言い換えると、楽しい、嬉しい、喜んでもらえるなどの快の感情を得られる経験です。

例えば、お昼時、これ以上食べたら眠くなることはわかっていても、食べたい欲求が勝ってしまった経験。
明日は朝早いからもう寝ないといけないとわかっていても、ゲームが面白くてやめられない経験。
このように、私たちは快を得られるように行動する生き物なのです。

仕事であれば、
・この仕事を引き受けたら忙しくなるのはわかっていても、面白そうだから引き受けよう。
・この仕事は自分には荷が重いし、失敗する可能性もあるけれど、できるようになったらかっこいいなぁと思うからチャレンジしよう。
・自分の意見はいつも尊重され、それに喜びを感じているから、今後もできる限り意見を伝えよう。

このように、自分にとって”快が得られる”と思えば行動するのです。

2.不快を避ける選択し行動する

もう1つ、人がつい行動してしまうケースがあります。
それは、不快を避けようとする時です。

・上司に怒られるのは嫌だから、指示されたことだけはちゃんとやっておこう。
・良かれと思って伝えたことで責められるから、余計なことをいうのはやめよう。
・ミスしたら評価が下がるから、挑戦するのはやめよう。
・アイデアはあるけど、言い出しっぺがやらないといけない風潮があるから、言わない。
・いつも意見が否定されるから、言わない。
・売上が下降気味で不安だから、必死に営業する。
・必死の上司に相談したら怪訝な顔をされたから、相談しない。

このように不快を避ける時にも、行動が伴います。

快も不快もやる気と自発的な行動を促す

この2つのケース、どちらの場合も自発的なやる気(欲求)と自発的な行動を促します。
そして、どちらのケースでも、行動が次のやる気と行動を促す連鎖が起きます。

快を得る行動をすれば、更に快を得られ、また快を得る行動をする

不快を避ける行動をすれば、更に不快を感じるので更に不快を避ける行動をする

例えば、このような感じです。
・売上が下降気味で不安だから、必死に営業する。
→必死の上司に相談したら怪訝な顔をされたから、相談しない。
→なぜ相談しなかったんだと怒られたから、上司にばれないようにする。
→困ったことが起きたけど、上司には内緒にして1人で抱え込む。

では、快を得る行動と不快を避ける行動、あなたはどちらで行動したいですか?

快を得るのは、ゼロからプラスをつくる行動です。
不快を避けるのは、ゼロからマイナスになるのをゼロに戻す行動です。
それらが連鎖し、積み重なっていくのです。
どちらも自発的なやる気を引き出し、行動を促すことができます。
しかし、どちらが健全かは明らかです。
社員が快を得られるような自発的行動ができるようになったらますます成果があがりますね。

今日は、自発的なやる気が自発的な行動につながるメカニズムについてお伝えしました。
いかがでしたか?

(文:菅生としこ)

株式会社AWESOME EYE 代表 菅生としこ

菅生としこプロフィール

トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!

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