菅生の一言
Todasy’s センテンス『本当に理解しているのかを確認する』
こんな話をお伺いすることがあります。
「”わかりました”と言っていたのに、やってないんですよ。やる気がないんですかね」
そんな経験はありませんか?
そんな時は、上司としてはやる気がないのか、と思ってしまいますよね。
お気持ち、わかります。
でも実は、そういったことが起きる原因はいろいろ考えられます。
例えば、
・仕事がいっぱいだったが、断れずに引き受けてしまった
・できるかなと思ったが、能力が足りず、頑張ったけどできなかった
・そもそも依頼内容を理解できておらず、何をしたらよいかわからなかった
・本当にやる気がない
など。
でも、本当にやる気がないのであれば、あなたなら最初からやる気がなさそうな態度でわかるのではないでしょうか。
そうだとしたら、やる気はあったけど、できなかったということになります。
そうなんです。
部下が「わかりました」と言わざるを得ない状況を作ってしまっているケースが大半です。
例えば、
・断ったら、他の人に仕事が振られる、でもこれをやるには自分が適任。断るわけにはいかない。
・上司がそれをやってほしい、やりたいと思っている気持ちもよくわかる。だから、やろうと努力をしたけれど、できなかった。
・言われたことはわかったのでできそうだと感じた。でも、やり始めたらかなり手こずって、期待レベルまでやれなかった。
・依頼された時、「わかったか?」と聞かれ、「わかりました」と答えてしまった。
わからないと言えば馬鹿なヤツだと言われてしまう。だから、わからない、と言えなかった。
・依頼された時、「わかったか?」と聞かれ、「わかりました」と答えたが、わかったつもりで表面的に進めてしまった。
でも、上司はもっと深く考えており、上司の期待には全く到達していなかった。
などなど、以上はよくあるケースです。
本人のやる気がないわけではなく、原因は違っても同じ現象が起きることもよくあるのです。
そこで、「なんでやっていないんだ!」とか「どうしてできていないんだ」とか「全然できていない(期待レベルに到達していない)」とか、言ってはいけないのです。
そんな時には、
自分の依頼の仕方が悪かったのかもしれない、
「わかりました」と言わせたのではないか、
部下が「上司の言っていることがわからない」と言える環境はあるか、
など、まずは自分の行動を振り返ることが先決です。
”わかりました”と言っていたのに、やってない状況を起こさないために上司としてできること。
いろいろありますが、1つの方法として、わかったことを部下自身に話をしてもらうことです。
伝え終えたら、「やること(わかったこと)を教えてもらえる?」と確認してみることです。
よく優秀な上司であればあるほど、これをいつまでにやってくるってことで、と自らが最後のまとめをする人がいますが、部下に話をしてもらわない限り、どこまで理解できているかわからないのです。
“時間や手間をかけて教えたにも関わらず、実際にはわかっていないのであれば、あなたから部下への指導は完了していません。”
“何かを教えたら、そのつど““本当に理解したか?”” ““本当に身についたか?””を確実に確かめることを必須事項にしてください。”
“指導を始める前に「最後に復唱してもらうから、そのつもりで聞くように」と言っておけば、指導中の部下の集中度はより高くなります。”
出典:『教える技術』かんき出版
著者:石田淳著
菅生としこプロフィール
トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!