先日、仕事で別府に行きました。

別府に行かれた方はご存知だと思いますが、別府市内を山側から見下ろすと、至る所で湯気が出ています。
市内を回ると、側溝からも湯気。
さすが温泉街。
温泉がいろいろなところで湧出しているのです。
そして、ホテルや旅館、温浴施設では、その温泉に入ることができます。
最高ですね~。

でも、温泉が大量に湧出しているからといって温泉に入れるのか、というとそうでもないですよね。
温泉に入れるようにするためのインフラが必要なのです。
湧出している温泉を引っ張ってくるパイプ、温泉を溜めておく湯船、湯船を囲む塀や建物、こういったものは全てインフラですよね。このインフラがあるから、私たちは温泉に入ることができるのです。

もしインフラがなかったら、と想像してください。
どれほど湧出量が多くても、山や道路から自然と湧き出ている温泉をそのまま浴びるなんてことは、あまりうまくできません。
うまく浴びれる人もいれば、浴びることができない人もいるでしょう。
ましてや、側溝に足をつっこむなんて、想像もしたくありません。
そうなのです。
インフラがあるからこそ、温泉の恩恵を受けることができるのです。

実は、組織開発も同様です。

例をあげてみます。
世の中では、1on1という部下の成長支援のための手段に関する研修やセミナーがあります。
私もたまに実施しています。
受講された方は、1on1のやり方が分かったとしても、1on1が継続できない、定着しない、ということがよく起きています。

それは、なぜか。
1on1を職場で継続してやり続けられるようなインフラがないからのです。
個人が1on1は成果がありそう!と実施し始めても、やり方でわからないことが頻出します。
そのとき、誰かに質問できて、素早く疑問が解消できるインフラや、部下が成長を感じられるような目標設定に関するインフラ、
習慣化するまで面談記録を提出するというインフラ、それらを管理する事務局もインフラです。

このようなインフラがなければ、定着・継続・成果をあげることは、かなり厳しいです。
せっかく受講した1on1研修も意味がなくなってしまいます。
1on1に限らず、目標管理制度や、刷新した評価制度、研修での学びの定着、小集団活動、〇〇会議など、挙げたらキリがありません。

せっかく始めたのになかなか定着しないなぁ、成果があがらないなぁという場合は、インフラがない、インフラが機能していない、
のかもしれませんね。
もったいないお化けが出てきそうです。

文:菅生としこ

株式会社AWESOME EYE 代表 菅生としこ

菅生としこプロフィール

トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!

MAGAZINE
メールマガジン 好評配信中