高二の息子は卓球に夢中です。
上手な後輩が入部し、もっと後輩に強くなってほしい、
勝てるようになってほしいと思っているようです。
なぜなら、卓球にも団体戦があり、
自分一人だけが全勝しても団体では勝利できないからです。
でも後輩にはなかなか自分が言っていることが
伝わらないと嘆いています。
先に、卓球をあまりご存知ない方もいらっしゃると思うので、
少々の解説をさせていただきますね。
「卓球は100m走をしながらチェスをするようなスポーツ」という、
ミスター卓球こと、世界選手権12個のメダルをとった『荻村 伊智朗氏』の言葉が有名です。
相手が考えている先の展開を考え、対応しなければならない一方で、
自分も戦略を持ち、仕掛けていくスポーツです。
繰り出される球は非常に豊富で、球の強弱・スピードの強弱、
球の回転の向きと速度、回転のかかり具合の強弱が、
相手・自分のラケットラバーとのかけ合わせで変化し、
それをものすごいスピードで判断し打ちながら戦略も考えなければなりません。
もちろん、思った球を返せるようなスキル・テクニックも必要です。
知力や卓球の技だけでなく、相手の球に合わせて足も動かさなければならず、
身体的能力も必要です。
あっ、ついつい卓球解説に力が入ってしまいました。
話を戻しますね。
息子は後輩A君についてこう解説しました。
「Aは卓球のテクニックはある。
多彩なサーブを出せるテクニックや、変化球に対応するテクニック。
でも、うまいけど、強くない。あれじゃあ、試合に勝てないんだよ。
試合に勝つためには戦略が必要、試合運びが重要なんだよ。
テクニックのありなしだけが勝敗を決めるわけじゃないのに、わかってもらえない。
だから、勝敗の要因を振り返らせても、
『負けた原因は今日はサーブが入らなかったから』とか
『今日はドライブの調子がよかった』とか、
テクニックの話しかしない。
それじゃあ、いつまでたっても勝てる確率があがらない。
どうしたらいいのか。」
チーム・組織での目標達成なら?
こういうことって、チーム・組織での目標達成にも当てはまるなぁと思ったのです。
上司は部下に伝えているのにわかってもらえない。。。
あなたにも経験ありませんか?
ここでいう卓球のテクニックとは、
職場における自分の専門知識や専門スキルと同じです。
でも、専門知識や専門スキルがあるからといって、必ずしも目標達成しませんし、
専門知識や専門スキルがないからといって必ず目標が達成されないとも限らないのです。
知識もスキルも高い部下がいても、
- 例えば、部下にやる気がなかったら・・・
=テクニックがある卓球部員でもやる気なく試合に参加したら - 例えば、目標を適切に理解されていなかったら・・・
=今度の試合は勝つことが目標で、勝つことが最も重要だと理解されていなかったら - 例えば、部下と上司は、違う目標を掲げていたとしたら・・・
=息子は試合に勝てるようになってほしいが、A君はスキルを上達させたいと思っているとしたら - 例えば、専門知識とスキルと経験があれば目標達成できると思っていたら・・・
=勝つためには、試合運びの知識や実践トレーニングが必要だと知らなかったとしたら。。。
今いくつか例をあげてみましたが、「A君にわかってもらえない」ことは
このように様々な要因が考えられるのです。
でも、一番お伝えしたかったのは、
「専門知識やスキルの教育」だけを行っていても、
チームの目標達成しない可能性が高い、ということです。
卓球でいう試合運び、
組織では「組織運営・目標達成までのマネジメント」ができなければ
組織として高い目標を達成することはできないのです。
あなたの組織・チームはどうですか?
菅生
菅生としこプロフィール
トヨタ自動車入社時から31年間、企業の成長のための問題解決一筋。
企業で起こる様々な問題を解決しながら、問題解決できる”組織と人材”の成長の両方を実現します。
これが成長し続ける会社をつくる唯一の方法です。