こんにちは。菅生です。
研修すれば、社員が変わってくれるんじゃないかという期待を抱いてご依頼受けることがよくあります。
また、研修は社員を変容させる取り組みだと信じ切ってご依頼いただくことも多々あります。
はっきり言います。
ごめんなさい。
1回や2回の研修だけで社員は変容しません。
これは、どんな講師が研修しても無理です。
仮に1~2回の研修で変容するなら、
・どこの会社ももっともっと素晴らしい成果をあげ、
・社員さんはやる気に満ち溢れ、
・素晴らしいコミュニケーションができ、
・ガンガン営業の受注がとれていたり、
・品質不具合もほとんど発生することなく、
・会社へのエンゲージメントも高まり、
・離職することもなく、
・会社全体が一体感をもてるようになっているのではないでしょうか。
しかし、そうはなっていませんよね。
残念ながら。。。
研修受講しても行動変容しないのは、
あなたの部下の問題ではなく、人というのはそういうものだからです。
私自身も、1回、2回の研修で自分自身が変われたら
なんて素晴らしいのかと自分自身を振り返って感じています。
あなたはいかがでしょうか?
なぜなら、人の成長は機械のように直線的ではないからです。
こーすればこうなる!と単純にはいかないのです。
なぜ研修では変われないのか?
人とはそういうものだからです。
どういうことかというと、
人はホメオスタシス(生体恒常性)が働いています。
簡単に言えば、外界からの影響に左右されず、内部を常に一定に保つことです。
研修で様々な知識を得ても、外部からの刺激なので、一瞬は変わったように見えても、
内部は今までと変わらないように保とうという力が働き、元に戻ってしまうのです。
他人を変えることはできない、というのはホメオスタシスを考えたら、納得ですよね。
例えば、あなたが部下に「次からはこういうやった方がいい」と言い、
部下は「はい、わかりました!」と言っても、部下は話を聴いていないとか、
言うこと聞かない、とかではなく、
「やろうと思ってもできないんです・・・」というのは噓ではないけど、
変わることには相当な努力を要する、ということです。
ということは、
人が変化する、人が成長する、ということは、
人間の習性を超えるほど、努力をしている
ということなのです。
人の変化、成長って本当に尊いですね。
でも残念なことに、一回や二回の研修では、そこまで変化を促すことはほぼ不可能です。
だからといって、何もしないのは
・社員の成長をあきらめる
・プラスに成長するも、マイナスに変化するも自然に任せる
・会社の成長もあきらめたり、自然に任せる
ということと同じです。
※人の成長とホメオスタシスついては、
Youtube動画「研修では成果が出ない?(ホメオスタシス編)」
でより詳しく解説しています。
社員の変容を促す方法
ではどうしたらよいのでしょうか。
大きくは2種類の方向性があります。
1.元に戻ろうとする力に対抗できるくらいの外部刺激(量、質、頻度)を与え続ける
2.恒常性に負けないくらい、自分から変わろうという気持ちを沸き立たせるよう関わる
具体的な手段としては、
研修、プロジェクト、ミーティング、評価面談、
1on1ミーティング、目標達成制度、コーチングなど
いろいろあります。
でも、重要なのは、何(どんな手段)を実施するか、
ではなく、
どのように実施するか、なのです。
この2種類、
1.元に戻ろうとする力に対抗できるくらいの外部刺激(量、質、頻度)を与え続ける
2.恒常性に負けないくらい、自分から変わろうという気持ちを沸き立たせるよう関わる
を織り込んだ手段にすることが大切です。
たまに、研修なのに社員に大きな変化がある場合がありますが、
それは、たまたま他の要素ががっちりはまった時です。
結局、単発研修以外にも取り組みが必要になるのです。
上司の関わり、OJTの仕組み、目標管理制度の上手な運用などなど。
自分を変えるということは、
自分の内面を、AからBにスイッチするということ。
社員さん自身がスイッチングコストを払えるような設計が重要ですね。
Youtube動画「研修では成果が出ない?(ホメオスタシス編)」では、
人の成長とホメオスタシスをより詳しく解説しています。
菅生としこプロフィール
トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!