○○をしたらよいとわかっているはずなのにやらないのは、やる気がないのではないか。
言わなくてもやってほしい…
もう少し熱意を持って仕事をしてくれたら…
社員がもっと自発的に行動してくれたら…
なんて心の中でモヤモヤすること、ありますよね。

それはあなたが、
「こんな会社にしたい」「こんなことを実現したい」という思いが強いから、感じるのだと考えています。

加えて、目指す姿と現在の乖離が大きければ、更にモヤモヤは高まります。
もしくは、「なるべく早く実現したい」とスピード感を求めている時にも、モヤモヤは大きくなります。
ですから、会社をよくしたいと思っている方であれば、当然の気持ちです。

また、このようにブログを読んでくださっている時点で、かなり優秀で意欲も高い方だとお見受けします。
そうなると、ご自身と社員を無意識で比べてしまい、こんなこともできないのか、これくらいすぐにできるだろうと思ってしまいますよね。

しかし。

意識しているか無意識かは個人差があると思いますが、多くの方は、自分1人でできることには限界があると感じているから、幹部や社員、部下との協力を得て、目標を達成したいと思っています。
その方が、より大きなこと、困難なことも実現できるからです。

幹部や社員の力を結集しなければ達成できないから、「この目標達成のために全員で協力して頑張ろう!」と声を大にして伝えているのに、思ったほど届いていないことを感じたことがある。
自分の大きな声が届いておらず、なかなか自発的に行動してもらえないことに落胆した。
そんな経験がおありではないでしょうか。
あなたの想いや考えが、思ったほど伝わっていないことに気づいた時には、さぞガッカリしたことでしょう。

そうなのです。
社員が自発的に行動しない理由の1つは、社長の想いや考えが伝わらない、ということです。
言い換えると、社長の掲げた目標に共感できていない、ということです。

なぜ伝わらないのか。なぜ届かないのか。

なぜ社長の想いや考えは伝わらないのでしょうか。
その理由の1つは、見えない川(隔たり)があるからです。

向こう岸が見えないくらい広い川。
深すぎで歩いては渡れないほどの川。
川幅が広い、水深が深いにも関わらず、対岸に渡る橋や船、泳力がない。
霧がかかっていて、川がよく見えない。
など、川にもいろいろあります。

社長と社員の間はもちろんのこと、一般社員と課長の間にも川があります。
課長と部長の間にもあります。
部長と幹部、幹部と社長の間にも川があります。
川があるのは当たり前です。
人と人は違うので、誰もが1人っきりで、周りは川に囲まれている状態なようなものです。
1人1人違うので、川(人との隔たり)がない状態にすることは不可能です。
たとえ、家族であっても川(隔たり)はあります。

しかし、どんな川なのか、どんな川にするのかが重要です。

その川は、対岸までの距離、水深、対岸に渡る方法、川は見えているのか、水中の障害物など、把握し、管理するのです。
適正に隔たりを再構築することによって、個人である社員と社員が繋がり、チームとなり、一体感を創り出し、会社が会社として体をなし、皆が協力して目指す方向に自発的に行動してくれるようになります。
地球にに81億人いる人間の中で、特別な川の向こうとこちらでつながった特別なチーム・組織が出来上がります。
適正に隔たりを再構築することによって、社長の声が社員一人ひとりまで届くようになります。

社長の声、考え、想いが、社員一人ひとりに届いたら、社員が自発的に行動してくれる可能性は高まりそうですね。

(文:菅生としこ)

株式会社AWESOME EYE 代表 菅生としこ

菅生としこプロフィール

トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!

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