自社の社員のやる気に満足している、という社長や上司はかなり少ないように感じています。
うちの社員・部下は頑張ってくれている、という話は聞きますが、満足はしていない方が多いようです。
それは当たり前の話です。
社内で最もやる気があるのは?
社内で最もやる気がある人は間違いなく社長です。
いろいろな会社の形態があるので、全員とは言いませんが、多くの場合、社長が最もやる気があります。
社長は、会社をこうしたい、こんな事業をしていきたい、お客様に喜んでほしい、という思いがあふれています。
そして、そのために自分の力を最大限発揮して、その思いを実現するために日夜努力しています。
次にやる気があるのは、それをそばで見ている幹部です。
社長の話を常日頃よく聴き、そんな未来に共感したり、実現させたいと願うようになり、社長ほどではないにせよ、日夜努力しています。
しかし、幹部の裁量は社長より少ない分、どこまでやってもいいのかわからず、動きにくくなっている部分もあるようです。
次にやる気があるのは部門長や部長です。
このように、社長から近ければ近いほど、ビジョンに共感するようになり、自分もそのビジョンを実現したいという気持ちが大きくなるので、やる気が高くなるのです。そして、個人差はありますが、一般的には社長から距離が離れれば離れるほど、やる気は低くなりがちです。
社長は、自分と部下のやる気の大きさを無意識に比べてしまい、部下にもう少しやる気があったら、と思ってしまうのです。
だから、部下のやる気に満足しないのは、致し方ないコトなのです。
この自ら湧き上がるモチベーション、行動の要因のことを、内発的動機づけと言います。
言い換えると、自発的にやる気を引き出す要因です。
あなたの部下が、あなたや誰かから強制されなくても、自ら「したい!」という欲求が高まる状態になったら最高ですよね。
常に指示を出し、行動するように促し続ける必要がなくなるので、あなたのマネジメントはかなり楽になります。
部下は、口うるさく言われることもなく、マイクロマネジメントされることなく、やり方が違うと怒られることもなければ、お前、馬鹿かなどとハラスメント問題への発展もありません。
それどころか、部下は、したいことができる喜びを得られる上、上司から喜ばれ、認められるようになるのです。
このような最高の状態の熱意ある社員が5%ではなく20%、30%になったら、あなたの会社はどのように変化するでしょうか?
その状態にするためにはどうしたらよいのでしょうか?
やる気を引き出す要因は?
今回は、有名な、F.ハーズバーグの「動機付け・衛生理論」を引用させていただきます。
動機付け・衛生理論
1. 職務のデザイン(内容・質)
2. 達成(業績)
3. 承認
4. 職責:責任・権限
5. 専門技能の進歩向上(成長)
この5つが、動機づけの要因となると言っています。
あなたの体験に当てはめてみるとよくわかるのではないでしょうか。
例えば、
1.職務のデザインであれば、
・自分の仕事の意義、
・インパクトの大小、
・会社が向かう方向性との一致度、
・認められる仕事、
・誇りを持てる仕事、
・自分の力が発揮できる仕事、
・やりたい仕事など
様々な要因があげられます。
2.達成(業績)では、
・達成できそう
・業績あげられる
・達成感が得られる
ものは、モチベーションが高まります。
という具合に、動機付け要因を意識しながら、部下に仕事を与えたり、部下に声掛けをすることで、自らやる気を高めてもらいやすくなります。
もしかしたら、「やれ!」と指示して、行動させられるような強制力をつければ済むことじゃないか、という方もいらっしゃるかもしれませんね。
また、そのやり方は面倒くさいとか、そこまで本当に必要なんでしょうか?というお話もよく聞きます。
次回は、なぜ自発的にやる気を引き出すことが重要なのか、についてお話したいと思います。
(文:菅生としこ)
菅生としこプロフィール
トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!